村上祥子料理研究資料文庫」の寄贈式並びにお披露目式が、
2016年4月17日(日)、公立大学法人福岡女子大学で執り行われました。
管理栄養士、料理研究家として一人で制作、収集したレシピと資料が 50 万点です。
まだ仕事は継続していますが、最近メディアの報道でデータの死蔵、散逸を耳にします。
そこで、「私個人で所有している時代は終わった。公的な機関にお渡しして、一般公開できたら」と考えました。
この文庫の一冊目はアメリカ人の望月アンさんに、日本の家庭料理を教えることから始まりました。
そのときアンさんが見せてくれた Culinary Arts Institute のEncyclopedicCookbook」はアメリカの家庭料理レシピを網羅したものでした。
「料理を教えるからにはこれくらい徹底しなくては!」と心に誓い、今日に至っています。
伝統とは変化と創造によって形成された文化のことです。
想像力を失って社会環境に適応できなくなった伝統は、未来の世代に引き継ぐことはできません。
ムラカミレシピも日々刻々と変わりながら作り続けました。
著作にして 330 冊です。
現代科学の主流は物事を細部に分解して理解する事です。
心の働きを脳の神経細胞に、そして細胞を神経伝達物質や遺伝子に還元します。
ですが、遺伝子が解明されれば人間の心の動きがわかるでしょうか。
より微視的に解析する手法があるなら、より巨視的にまとめる視点が必要となります。
少子高齢化の時代、食育や健康寿命の延伸に貢献する食の提案はおいしく、普通のレシピでなくてはなりません。
味を生み出すという感性のファジーな世界に、「村上祥子料理研究資料文庫」は生活者の起点に立つもととなります。
2016年4月18日(日)から一般公開されています。皆様もぜひお出かけ下さい。
福岡女子大学は学生の 4 人に1人が海外からの留学生です。1年生のときは全員、寮で共同生活を送ります。
共通語は英語。開学100 周年記念行事に「国際フードスタディセンター」のヴィジョンを掲げています。
「世界に羽ばたく食のプロフェッショナル」の育成に、「村上祥子料理研究資料文庫」は力を発揮すると信じています。